
- 1. 岩国医療センターの不正請求事件から学ぶ!リハビリ実務の落とし穴と対策
- 1.1. 1. 不正請求問題の概要
- 1.1.1. 1-1. 約6000人分のリハビリ時間を水増し
- 1.1.2. 1-2. 約7000万円の不正請求
- 1.1.3. 1-3. 背景にある“目標”の圧力
- 1.2. 2. 理学療法士として注意すべきポイント
- 1.2.1. 2-1. リハビリ時間の正確な記録
- 1.2.2. 2-2. 倫理観とモラルの徹底
- 1.2.3. 2-3. チームアプローチと情報共有
- 1.3. 3. 今後求められる取り組み
- 1.3.1. 3-1. 監査体制の強化
- 1.3.2. 3-2. 教育・研修の充実
- 1.3.3. 3-3. 病院管理職との連携
- 2. 4. まとめ
岩国医療センターの不正請求事件から学ぶ!リハビリ実務の落とし穴と対策
山口県岩国市の国立病院機構岩国医療センターが、2021年4月から2023年9月までの約2年半にわたり、リハビリ時間を水増しして診療報酬を不正請求していたことが明らかになりました。その総額は約7000万円にも上り、関係者や患者約6000人に大きな影響を与えています。理学療法士をはじめとするリハビリ職にとって、正確なリハビリ時間の計測と記録は極めて重要です。本記事では、この不正請求問題の概要と背景、そして現場で働く理学療法士がいま改めて意識すべきポイントについて解説します。
1. 不正請求問題の概要
1-1. 約6000人分のリハビリ時間を水増し
山口県岩国市の国立病院機構岩国医療センターでは、脳卒中の後遺症がある患者などを対象に理学療法士らがリハビリを行っていました。しかし内部調査の結果、実際には20分未満で終了していたリハビリを20分(1単位)として請求するなどの不正が発覚。これが約2万3600件、患者約6000人分に及んだとされています。
1-2. 約7000万円の不正請求
今回の水増し請求によって、約7000万円にも及ぶ診療報酬を不正に受け取っていたとされています。岩国医療センター側は、患者や健康保険組合などへの返還を表明しており、今後は国立病院機構全体のリハビリ診療報酬請求についても調査が行われる見通しです。
1-3. 背景にある“目標”の圧力
調査によると、一部の職員は「1日15単位」などの目標をノルマのように感じ、水増しに手を染めていたといいます。また、中にはリハビリ時間中にもかかわらず、別の患者の電子カルテを確認するといった“片手間作業”が業務怠慢とみなされ、不正請求の対象とされました。
2. 理学療法士として注意すべきポイント
2-1. リハビリ時間の正確な記録
リハビリを行ううえで、“時間”は診療報酬請求に直結する重要な要素です。実施時間の管理ミスや記録の怠慢は、不正請求に発展するリスクを抱えています。電子カルテのタイムスタンプやリハビリ記録は、必ず実際にかかった時間を正確に入力しましょう。
2-2. 倫理観とモラルの徹底
病院の目標や個人のノルマに追われた場合でも、診療報酬の算定ルールを曲げることは厳禁です。患者の信頼を損ねるだけでなく、病院全体の信用問題にもつながります。医療従事者としての倫理観とモラルを常に意識し、チーム内でも互いにチェックし合う仕組みが求められます。
2-3. チームアプローチと情報共有
リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、医師など多職種が連携して行うチーム医療です。時間管理や記録方法に関しては、誰かひとりが独断でルールを決めるのではなく、チーム全体で共通理解を持つことが大切です。定期的なカンファレンスやミーティングで透明性の高い情報共有を行いましょう。
3. 今後求められる取り組み
3-1. 監査体制の強化
今回の件を受けて、病院側だけでなく国立病院機構全体での監査体制強化が進むことが予想されます。理学療法士としては、適切な運用が行われるように協力し、疑わしい事例や記録ミスが見つかった際には速やかに上長や管理者へ報告するようにしましょう。
3-2. 教育・研修の充実
リハビリ専門職が診療報酬のルールや時間管理の重要性を深く理解するためには、継続的な教育や研修が欠かせません。自分が最新の情報をキャッチアップできるよう、学会や研修会への参加、院内の勉強会への積極的な関わりを検討してください。
3-3. 病院管理職との連携
理学療法士が適切に業務を行うためには、病院管理職との連携も重要です。現場に見合わない過度な目標設定がなされていないか、コミュニケーションを密に取りながら確認しましょう。現場の声を拾うことで、より実践的で公正なリハビリ提供体制が整備されるはずです。
4. まとめ
今回の不正請求問題は、リハビリテーションのあり方や診療報酬の在り方について大きな警鐘を鳴らす出来事となりました。理学療法士としては、正確な時間管理と適切な報酬請求を行うことが、自身の専門性や職業倫理を守る第一歩です。患者に安全・安心なリハビリを提供するためにも、今一度、自分たちの業務プロセスを振り返り、誠実な医療サービスを追求していきましょう。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。