理学療法士が増えすぎ?需要と供給から学ぶキャリア生存戦略

【理学療法士は増えすぎ?】現在PTとして働くあなたが知っておきたい「需要と供給」の現実

「理学療法士が増えすぎ」という声を耳にしたことはありませんか?
日々の業務に追われながらも、将来のキャリアや働き方について不安を感じる理学療法士の方は多いでしょう。実際、ここ数年で理学療法士の養成校増加や資格取得者数の増加は顕著です。
本記事では、市場の「需要と供給」の視点から理学療法士の現状を整理しつつ、今後どのようにキャリアを築いていくべきかを考察します。

理学療法士が「増えすぎ」と言われる背景

1. 養成校の急増と資格取得者数の増加

高齢化社会を迎え、医療・介護分野の人材ニーズが高まると見込まれたことから、理学療法士の養成校は全国的に増加しました。その結果、毎年輩出されるPTの数が大幅に増え、「供給過多ではないか?」という指摘が出始めています。

2. 報酬制度や配置基準の影響

医療や介護の現場での人員配置は、診療報酬や介護報酬などの制度に左右されます。各病院や施設が配置できる理学療法士の数には上限や予算的制約があり、需要(雇用の枠)がすんなり拡大するわけではありません。供給が増え続けても、制度上の受け皿が十分でないケースも考えられます。

3. 「需要」と「供給」のギャップ

高齢化が進み、リハビリの必要性は高まっている一方で、就職先や報酬が比例して増えているかは疑問が残ります。地域によっては理学療法士が不足しているところもありますが、都市部では過剰気味になりつつあると感じている方が多いのではないでしょうか。

「需要」は本当に減っているのか?

高齢化社会でのリハビリ需要はまだまだある

「リハビリの必要性がなくなる」わけではありません。むしろ、超高齢社会の到来や、要介護者の増加、慢性疾患の長期的なリハビリなどで、理学療法士の潜在的な需要は大きいです。

新しいフィールドが拡大中

病院や介護施設だけでなく、スポーツリハや在宅支援・訪問リハ、さらには企業の健康管理や介護予防など、多様な分野で理学療法士が活躍する場は広がっています。
ただし、これらの分野はまだまだ発展途上であり、どこまで需要が伸びるかは政策や市場の反応にも左右されます。

供給過剰の影響:現場で感じる変化

1. 就職・転職の競争激化

「増えすぎ」と言われる背景には、求人倍率の低下や就職先の条件面の厳格化といった実感があります。同一地域・同一分野での理学療法士の枠が限られている場合、自然と競争が激しくなりやすい状況です。

2. 賃金の伸び悩み

需要より供給が上回り気味になると、雇用側としては低めの賃金設定でも採用が可能になりがちです。特に新卒や若手は、キャリア形成を優先して多少条件が厳しくても就職せざるを得ないケースもあるでしょう。

3. スキルや専門性への要請

供給が増えれば増えるほど、企業や施設はより専門性の高い人材を求めるようになります。業界内での「差別化」が求められ、呼吸リハビリやスポーツリハビリ、小児リハビリなどの専門分野を極める理学療法士が重宝される傾向にあります。

需要を取り込むために:理学療法士としてのキャリア戦略

1. 新たな活躍の場を探す

  • 地域リハビリや訪問リハビリへの参入
  • 健康経営に注力する企業やスポーツ関連事業との連携
  • 介護予防やフィットネス分野など、成長が期待される領域へのチャレンジ

幅広く情報を収集し、多角的にキャリアの可能性を探る姿勢が重要です。

2. 専門知識の習得・スキルアップ

供給が多いからこそ、差別化となる武器を持つことが必要です。

  • 学会や研究会への参加
  • 認定理学療法士や専門理学療法士などの資格取得
  • 大学院進学や学術研究への取り組み

自分だけの強みを身につけることで、職場選択の幅を広げるだけでなく、将来にわたって安定した需要を得やすくなります。

3. 転職やキャリアチェンジを視野に入れる

施設や地域によって、需給バランスは大きく異なります。都市部で厳しい状況であっても、地方や特定の専門分野ではまだまだ人材不足のケースも。もし現職でキャリアの伸び悩みを感じるなら、転職サイトや転職エージェントを活用して情報を集め、柔軟に行動してみるのも手です。

まとめ:需要と供給の波を乗り越えるヒント

「理学療法士が増えすぎ」と言われる背景には、養成校増加と社会の制度的制約のバランス崩壊が潜んでいます。しかし、需要が完全に消滅するわけではなく、むしろ高齢化社会や多様なリハビリ需要を前に、新しい活躍の場が出現しているのも事実です。

  • 専門性を身につける
  • 自分の強みをアピールできる分野を探す
  • 需要が見込まれる地域や領域をリサーチする

これらを意識してキャリアをデザインすれば、理学療法士としての未来は大きく開けるはずです。

理学療法士の増加は、ある意味“市場競争”を活性化させ、私たちの専門性をより高めるチャンスでもあります。今の職場環境や働き方に違和感を覚えるなら、ぜひ情報収集を重ね、新たな一歩を踏み出してみてください。今後も理学療法士として求められる価値を高め、自分らしいキャリアを築いていきましょう。

関連サイト

公益社団法人日本理学療法士協会 国民の皆さま向けトップ

公益社団法人 日本理学療法士協会の公式サイトです。協会に関する様々な情報をご紹介します。

JSPO 日本スポーツ協会

わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。

公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)

日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。