
- 1. お金と幸福度の研究が教えてくれること
- 1.1. 世界の幸福度研究が明かす「お金」と「幸せ」の関係
- 1.1.1. 年収と幸福は比例するのか?
- 1.1.2. 日本における幸福度と所得の実態
- 1.2. お金の「使い方」で幸福度は大きく変わる
- 1.2.1. プロソーシャル支出の効果
- 1.2.2. 経験への支出は「モノ」より幸せ
- 1.3. 借金や経済的不安が幸福を削る
- 1.4. 理学療法士が実践すべき「お金と幸福の整え方」
- 1.4.1. 1. まずは経済的不安の解消から
- 1.4.2. 2. 自分と他人への投資を増やす
- 1.4.3. 3. 職場環境と働き方にも目を向ける
- 1.5. まとめ:幸せになるために「お金」をどう扱うか?
お金と幸福度の研究が教えてくれること
理学療法士として日々現場で働く中で、「今の収入で本当に満足しているか?」「もっと稼げば幸福になれるのか?」と感じることはないでしょうか?本記事では、世界の幸福度研究をもとに、お金と幸福のリアルな関係について掘り下げ、理学療法士としてのキャリアや生活にどう活かすべきかを考察します。
世界の幸福度研究が明かす「お金」と「幸せ」の関係
年収と幸福は比例するのか?
これまで、「年収が7.5万ドル(約1000万円)を超えると幸福度は頭打ちになる」との研究(カーネマンら、2010年)が定説でした。しかし、2021年にはキリングスワースによる大規模調査で「高収入ほど幸福度はさらに上がる」と真逆の結果が出されました。
そして2023年、カーネマンとキリングスワースがタッグを組んだ再分析では、両者の主張が正しかったことが示されました。幸福度が一定以上で安定している人(約80%)は、収入が増えるほど幸福度も高くなります。一方、日常的に強いストレスや不満を抱えている人にとっては、ある程度の収入を超えるとそれ以上の幸福感は得られにくいのです。
日本における幸福度と所得の実態
日本国内の調査では、年収が300万円〜600万円に集中する層で「経済的不安」を強く感じやすく、幸福度が下がる傾向にあります。一方で、可処分所得が700万円を超えると「将来への安心感」「時間的余裕」「選択肢の増加」などの要素が影響し、幸福度が上昇しやすくなるとされています。
また、日本は先進国の中でも特に「30〜50代の幸福度が低い」ことが特徴的です。背景には長時間労働、社会的孤立、子育て・教育コストの高さなどが挙げられます。
お金の「使い方」で幸福度は大きく変わる
プロソーシャル支出の効果
幸福度研究で一貫して示されているのが、「自分のためより他人のためにお金を使った方が幸福感が高まる」ということ。これは「プロソーシャル支出」と呼ばれ、例えば寄付や家族・友人への贈り物、ボランティア活動などが該当します。
2023年のメタ分析では、他者のためにお金を使った人は、短期的にも長期的にも一貫して高い幸福度を感じていることが示されました。
経験への支出は「モノ」より幸せ
また、「モノ」より「経験」にお金を使う方が幸福度は高まる傾向にあります。旅行、習い事、ライブ、家族での外出など、人とのつながりを生む経験は幸福度を継続的に押し上げてくれるからです。
理学療法士としての勉強会やセミナー参加も、スキルアップだけでなく、自信やつながりの再確認という形で幸福感に寄与する投資だと言えます。
借金や経済的不安が幸福を削る
一方で、「収入」以上に幸福度にマイナスを与えるのが、借金や経済的不安です。特にリボ払いやカードローンなどの高金利借入を抱える人は、収入水準に関係なく幸福度が大きく低下することが分かっています。
2023年の中国での大規模調査では、家計の負債がうつ症状や睡眠障害などのリスクを高めることが明らかになりました。経済的ストレスは身体的・心理的な健康にも直結するということです。
理学療法士が実践すべき「お金と幸福の整え方」
1. まずは経済的不安の解消から
・生活防衛資金として「生活費の3〜6か月分」を貯蓄する。 ・無駄な固定費(サブスク、保険、通信費など)を見直す。 ・副業や資格取得で、収入の「第二の柱」を持つ。
2. 自分と他人への投資を増やす
・自分の学びや経験にお金を使う(書籍、セミナー、旅行など)。 ・地域イベントや患者さんへの小さなギフト、支援活動にも積極的に関わる。 ・同僚や家族との食事・時間共有を「浪費」ではなく「幸福の投資」として捉える。
3. 職場環境と働き方にも目を向ける
・長時間労働が常態化していないかを定期的に見直す。 ・メンタルヘルスを守るために、休みの取り方やオン・オフの切り替えを意識する。 ・制度や役職によって収入や自由度がどう変わるかを冷静に分析し、キャリア設計に反映させる。
まとめ:幸せになるために「お金」をどう扱うか?
幸福度の研究が教えてくれるのは、「ただお金を稼げば幸せになれる」という単純な話ではないということです。
理学療法士という職業は、直接的な患者との関わりや社会貢献性が高い一方で、報酬面ではまだ十分とは言えない職場も多いのが現状です。
だからこそ、自分で「お金」と「幸福」のバランスを取る力が必要です。
収入アップ、副業、支出の見直し、人とのつながりを意識した投資──こうした一つひとつの行動が、結果的にあなたの人生全体の満足度を押し上げてくれるでしょう。
現場で働く理学療法士の皆さんにとって、今日からできる小さな“幸せのお金の使い方”が見つかることを願っています。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。