
- 1. 新卒で“自費整体院”に進むという選択肢―学生のうちに知っておきたいメリットと落とし穴
- 1.1. 1. そもそも自費整体院とは何か
- 1.2. 2. なぜ新卒PTが自費整体院に流れているのか
- 1.2.1. (1) 初任給の高さ
- 1.2.2. (2) 自由度の高い施術
- 1.2.3. (3) ビジネススキルが身につく
- 1.2.4. (4) “華やかさ”の演出
- 1.3. 3. メリットを深掘りする
- 1.4. 4. リスクと注意点
- 1.4.1. (1) 法的グレーゾーン
- 1.4.2. (2) 臨床基礎力の不足
- 1.4.3. (3) 指導者や研修体制のばらつき
- 1.4.4. (4) 営業ノルマとの葛藤
- 1.5. 5. 学生のうちに仕込む“キャリアの幹”
- 1.6. 6. 自分に合う進路を選ぶためのチェックリスト
- 2. まとめ―目先の高収入か、臨床基礎か。正解は「戦略的ハイブリッド」
新卒で“自費整体院”に進むという選択肢―学生のうちに知っておきたいメリットと落とし穴
「国家試験に合格したら、病院の回復期病棟で基礎を学ぶ」。そんなキャリアモデルが揺らいでいます。近年、新卒理学療法士が保険診療を行わない“自費整体院”へ就職するケースが首都圏を中心に急増中です。
本記事では、これから理学療法士(PT)を目指す学生に向けて 自費整体院のリアルな働き方・メリット・リスク を整理し、10年後に後悔しないキャリア設計のヒントをお届けします。
1. そもそも自費整体院とは何か
- 保険外サービス:医療保険や介護保険を使わず、1回あたり5,000〜12,000円の施術費を患者が全額負担。
- 運営主体は多様:柔道整復師や鍼灸師がオーナーの治療院、スタートアップ系のリハビリ特化型ジム、チェーン展開する大手グループなど。
- 業務内容:リハビリ評価を基にした運動指導・徒手療法・ピラティスやヨガの要素を組み合わせたコンディショニングが中心。医師の指示の下で行う“理学療法”とは法的に切り分け、「指導・助言」領域でサービスを提供します。
2. なぜ新卒PTが自費整体院に流れているのか
(1) 初任給の高さ
病院の新卒給与が月23〜25万円程度なのに対し、自費整体院では月27〜30万円スタート+完全週休2日という求人も珍しくありません。
(2) 自由度の高い施術
20分単位の算定や診療報酬の制約がなく、徒手・運動療法を60分フルに使える。実験的アプローチも導入しやすく、臨床アイデアをそのまま形にできる点が若手に人気です。
(3) ビジネススキルが身につく
来院促進のSNS運用、リピート率を上げるカウンセリング、回数券の提案など、病院勤務では学びにくいマーケティング力を早期から習得できます。
(4) “華やかさ”の演出
InstagramやYouTubeに映える内装、私服勤務、最新機器――。いわば「ビジュアル勝負」の職場環境が、就活生の目に新鮮に映る側面も否定できません。
3. メリットを深掘りする
視点 | 自費整体院 | 病院・介護施設 |
---|---|---|
収入 | 高い月給+インセンティブ | 安定だが昇給は緩やか |
裁量 | 施術時間・内容を自由設定 | 保険点数・指示書に縛られる |
顧客層 | 「健康増進」「パフォーマンス向上」ニーズが多彩 | 医学的リハが中心 |
スキル | カウンセリング・販売・SNS運用 | 診断補助・急性期対応・多職種連携 |
将来展望 | 独立開業やオンライン指導へ直結 | 大学院・専門認定・教育職へ発展 |
要点:自費整体院は“稼ぎながらビジネス感覚を磨く”という点で優位。一方、重症例への介入や診断推論、
学会ガイドラインを基にした評価手法などは病院勤務でこそ深まる――両者はトレードオフです。
4. リスクと注意点
(1) 法的グレーゾーン
理学療法士法では「医師の指示下」での施術が前提。自費整体院で“理学療法”と称して機能訓練を行うと、医療法違反に問われるリスクがあります。役割を「運動指導・コンディショニング」と明確にし、広告表現にも細心の注意を。
(2) 臨床基礎力の不足
検査データの読み取り、急変時対応、術後リハの進行管理――病院で得られる経験は 生涯にわたり臨床の柱になります。新卒で得損なうと後追いで学ぶコストが高い点は覚悟が必要。
(3) 指導者や研修体制のばらつき
小規模院ではベテランPTが不在のケースも。OJTが“見て覚えろ”頼みになりやすく、技術の体系化が難しいことがあります。
(4) 営業ノルマとの葛藤
売上目標を優先しすぎると、患者本位の治療観と衝突。短期で燃え尽きて病院へ“出戻り”する先輩も見受けられます。
5. 学生のうちに仕込む“キャリアの幹”
- 幅広い臨床実習を体験:急性期・回復期・地域・在宅……多様な現場を見て“自分の物差し”をつくる。
- 評価と診断推論の基礎を固める:筋骨格系だけでなく内科的視点、薬理、栄養などを深掘りし「全身を見る視点」を養う。
- ビジネスリテラシーを学ぶ:簿記3級・マーケティング基礎本・SNS運用……自費領域で必須の知識を学生のうちに吸収。
- 将来像を10年スパンで描く:臨床家/経営者/教育者……“複数シナリオ”を持ち、どの環境でも活きるスキルポートフォリオを設計。
6. 自分に合う進路を選ぶためのチェックリスト
- 求人票だけでなく「社員インタビュー動画」「離職率」も確認したか?
- 業務範囲を示した雇用契約書を取り寄せ、法的ポジションを理解したか?
- 教育研修の頻度と内容、外部研修補助の有無を把握したか?
- 3年後・5年後のロールモデルを社内外で見つけられたか?
- 財務諸表や事業計画に触れ、“経営視点”を持つ努力をしているか?
まとめ―目先の高収入か、臨床基礎か。正解は「戦略的ハイブリッド」
自費整体院は 高収入×マーケ力、病院は 臨床基礎×チーム医療。どちらが上かではなく、「どの順序で組み合わせると10年後に市場価値を最大化できるか」がカギです。
提案:まず病院で臨床力を仕込み、並行してSNS発信や資格取得でビジネス感覚を磨き、3〜5年後に自費領域へ
ステップアウトする“段階的ハイブリッド”こそ、安定と挑戦を両立する最適解。
就活の軸を“今もらえる給料”だけで決めないでください。「将来の自由度」を買う投資こそ、学生のあなたがいま選ぶべき最も堅実な戦略です。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。