
- 1. 「数字を眺めるだけ」の管理者が組織の成長を止める──現役理学療法士が現場から感じる違和感とは?
- 1.1. はじめに
- 1.2. 「数字ウォッチャー」管理者とは何者か?
- 1.3. なぜ「見るだけ」に留まってしまうのか?
- 1.3.1. 1. リスク回避志向の文化
- 1.3.2. 2. 評価制度の硬直化
- 1.3.3. 3. 財務偏重の思考
- 1.4. 現場への悪影響は深刻
- 1.4.1. スタッフの意欲が削がれる
- 1.4.2. チャンスの逸失
- 1.4.3. 数字重視によるサービスの劣化
- 1.5. 理学療法士としてできる実践策
- 1.5.1. KPIの再提案
- 1.5.2. 小さく始める「実験」
- 1.5.3. 提案に“数字の裏付け”を添える
- 1.6. 「見るだけ管理者」から「動かす管理者」へ
- 2. まとめ
「数字を眺めるだけ」の管理者が組織の成長を止める──現役理学療法士が現場から感じる違和感とは?
はじめに
日々リハビリの現場で患者さんと向き合い、少しでも成果を出そうと奮闘している理学療法士の皆さん。
その一方で、「上層部が数字ばかり見て現場を見ていない」「会議で話題になるのは収益の話ばかり」といった違和感を抱いたことはないでしょうか?
この記事では、「収益を上げる」よりも「収益を眺めること」に満足してしまっている管理者について掘り下げていきます。
組織が停滞する背景、現場への悪影響、そして我々理学療法士が取れる行動までを現場目線で解説します。
「数字ウォッチャー」管理者とは何者か?
多くの医療機関に存在する、いわゆる“数字ウォッチャー型管理者”には次のような特徴があります。
- 損益計算書や予実管理表を毎日確認して満足している
- 会議のアジェンダが収益・赤字・前年比に偏っている
- 新たな取り組みに対して「予算が…」「根拠は?」と後ろ向き
- 成果や患者満足よりも「前年通り」であることに安心感を抱く
つまり、見るだけで動かない管理スタイルです。結果として、現場スタッフは挑戦をしづらくなり、組織に停滞感が漂います。
なぜ「見るだけ」に留まってしまうのか?
1. リスク回避志向の文化
医療機関や介護施設では「収益の安定性」や「赤字を出さないこと」が強く求められます。
そのため、現状維持=安定と捉える風潮が強く、投資や挑戦を避けがちです。
2. 評価制度の硬直化
管理職の評価基準が「前年比±〇%以内」で良しとされる場合、新たなチャレンジよりも無難な運営が優先されます。スタッフが意欲的な提案をしても「今は難しい」で却下されるのがオチです。
3. 財務偏重の思考
理学療法の現場では「回復」や「QOL向上」といった定性的な成果が重要です。
しかし、収益や稼働率といった定量データばかりが指標として重視されると、本来の目的が薄れてしまいます。
現場への悪影響は深刻
スタッフの意欲が削がれる
「どうせ言っても通らない」と感じた瞬間に、提案や創意工夫は止まります。優秀なスタッフほど早期に見切りをつけ、離職リスクが高まるでしょう。
チャンスの逸失
自費リハや訪問リハ、オンライン指導などは今後の可能性を秘めた分野です。しかし、動かない管理者がいる組織では検討段階で止まるケースが多発します。
数字重視によるサービスの劣化
数字に追われすぎると「単価を上げる」より「患者数を詰め込む」方向に傾きがちです。その結果、1人あたりのサービスの質が落ち、利用者満足度も下がる悪循環が生まれます。
理学療法士としてできる実践策
KPIの再提案
管理者が重視する「数字」を逆手に取り、行動に結びつくKPIを提案してみましょう。
- 自費プログラムの継続率
- 退院後フォローアップ実施率
- 紹介件数
数字と行動の両輪で収益も質も上げる設計を意識します。
小さく始める「実験」
いきなり大きな改革は難しくても、30分のミニ勉強会やSNS発信など、小さな実験はすぐに始められます。結果が数字に結びつけば管理者も納得しやすくなります。
提案に“数字の裏付け”を添える
提案が通りにくい場合、「こんな効果が見込める」という収益シミュレーションを添えてみましょう。管理者に響くのは感情ではなく数字です。
「見るだけ管理者」から「動かす管理者」へ
管理者本人の問題だけでなく、組織文化や評価制度がその姿勢を助長していることも多いです。だからこそ、現場側からの発信も重要です。
- 成果に対する評価基準の見直し
- 自主提案制度の導入
- スタッフ主導のプロジェクト推進
これらをきっかけに、「収益を見る」から「成果を生む」への変化を促していきましょう。
まとめ
「数字ばかり見て、何もしない管理者」に対してイライラや無力感を抱くことは少なくありません。しかしそのまま放置していると、現場の成長もあなた自身のキャリアも停滞してしまいます。
理学療法士だからこそ持っている“現場からの視点”を活かし、小さな変化を仕掛けることが組織全体の活性化につながります。
あなたの行動が、数字だけでは語れない「成果」を生む第一歩になるかもしれません。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。