理学療法士必見!年末調整の基本と廃止提案が与える影響とは?

年末調整とは?理学療法士が知っておきたい税務手続き

理学療法士として働いている方も、毎年「年末調整」という手続きを経験していると思います。しかし、この年末調整が実際にどういう意味を持つのか、どのような仕組みで行われているのかを正しく理解している方は少ないかもしれません。今回は、年末調整の基本的な説明に加え、最近話題となっている河野太郎デジタル相による年末調整廃止の提案についても触れながら、理学療法士が知っておくべき年末調整のポイントをお伝えします。

年末調整とは?

年末調整とは、給与所得者に対して1年間の所得税を再計算し、税金の過不足を調整する手続きです。毎月の給与から所得税が源泉徴収されていますが、これはあくまで仮の税額です。年末調整では、年間の総収入や各種控除額を基に正確な税額を計算し、払い過ぎた税金が還付されるか、不足している場合は追加で納税することになります。

理学療法士も雇用されている場合、基本的にこの手続きを会社が代行してくれるため、自身で確定申告をする必要はありません。ただし、副業収入がある場合や特定の控除を受けたい場合は、確定申告を別途行う必要があります。

年末調整の流れ

理学療法士として働く皆さんが直面する年末調整の流れについて、もう少し詳しく説明します。

  1. 年末調整の書類提出
    年末調整は毎年12月に行われますが、その準備として、11月ごろに従業員は各種書類を会社に提出します。この書類には以下のようなものがあります。
  • 扶養控除等申告書:扶養家族がいる場合、扶養控除を受けるために必要な書類です。扶養人数によって控除額が変わります。
  • 保険料控除申告書:生命保険、地震保険、社会保険などに加入している場合、その保険料を控除するための書類です。
  • 住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローンを利用している場合、住宅ローン控除を受けるための書類です。

  1. 控除の確認と申告
    提出した書類を基に、会社はあなたの控除を確認します。以下のような控除が一般的です。
  • 給与所得控除:給与収入に対して一律に適用される控除です。収入額に応じて決定されます。
  • 扶養控除:扶養している家族がいる場合、その人数に応じた金額が控除されます。
  • 社会保険料控除:健康保険、年金、雇用保険などの保険料が控除されます。
  • 生命保険料控除:生命保険や個人年金保険に支払った保険料に対して適用される控除です。
  • 住宅ローン控除:住宅を購入する際のローン利息を対象にした控除で、条件を満たせば、ローン残高に応じて税額が減ります。

  1. 源泉徴収と最終調整
    毎月の給与から源泉徴収されている税金は、仮の計算に基づいた額です。年末調整では、最終的な年間所得と控除額を基に、正確な税額を再計算します。その結果、源泉徴収された税額が多ければ税金の払い戻し(還付)を受けることができます。一方、もし不足している場合は、追加で税金を納める必要があります。

  1. 還付または追加納税の処理
    年末調整の結果、払い過ぎた税金がある場合は、翌年の1月頃に給与とともに還付金が支払われます。逆に、税金が不足している場合は、追加で税金が差し引かれます。理学療法士として給与を受け取っている方も、このプロセスに従って税金を調整します。

河野太郎氏の「年末調整廃止」提案

2024年9月、河野太郎デジタル相は自民党総裁選の公約として「年末調整の廃止」を提案し、注目を集めました。河野氏の提案では、現在会社や雇用主が代行している年末調整を廃止し、すべての国民が自ら確定申告を行う仕組みに移行することを目指しています。

この提案の背景には、デジタル技術を活用して所得情報を一元管理し、真に支援を必要とする人々に迅速にサポートを提供する「プッシュ型支援」の実現があります。マイナンバー制度を活用して、国が所得関連のデータを一元管理することで、効率的な税制運用を目指すのが狙いです。

一方で、この提案には現場からの懸念もあります。確定申告をすべての国民が行うとなると、事務作業の負担が増え、特に税務署や税理士にとっては大きな影響が出ることが予想されます。

理学療法士にとっての影響

河野氏の提案が実施されると、理学療法士も含め、すべての給与所得者が年末調整の代わりに自ら確定申告を行うことが必要になります。これは、副業をしている人や特定の控除を申請したい人にはプラスかもしれませんが、そうでない人にとっては新たな負担となる可能性があります。

また、給与所得者にとって、現在の年末調整は簡便で手間がかからないシステムです。この仕組みが廃止されることで、確定申告に慣れていない理学療法士や医療従事者が税務処理に困るケースも出てくるでしょう。

年末調整の今後

現時点では河野氏の提案は議論の段階であり、実際に年末調整が廃止されるかどうかはまだ不確定です。しかし、デジタル化が進む現代において、税制改革が行われる可能性はあります。理学療法士としても、自分の所得や税務についての知識を深め、今後の変化に備えておくことが重要です。

まとめ

年末調整は給与所得者にとって税金を正確に計算し、過不足を調整する大切な手続きです。河野太郎氏の年末調整廃止の提案が実施されるかどうかは今後の議論次第ですが、いずれにせよ、理学療法士として自分の税務状況を正確に把握しておくことが大切です。日々の仕事に集中するためにも、税務処理を効率的に行えるよう、必要な知識を身につけましょう。

関連サイト

公益社団法人日本理学療法士協会 国民の皆さま向けトップ

公益社団法人 日本理学療法士協会の公式サイトです。協会に関する様々な情報をご紹介します。

JSPO 日本スポーツ協会

わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。

公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)

日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。