年収は本当に低いの?理学療法士のリアルを数字で比較検証

理学療法士の年収は本当に低い?将来性や魅力を徹底解説【学生向け】

理学療法士(PT)に興味を持ち、将来の進路として考えている方も多いのではないでしょうか。医療・リハビリ分野で活躍できる専門職として、近年ますます注目が集まっています。しかし、一方で「理学療法士は給料が低いって聞いた」「年収があまり高くないのでは?」といった不安の声があるのも事実です。

そこで本記事では、これから理学療法士を目指そうとする学生の皆さんに向けて、理学療法士の年収事情や将来性、そして仕事の魅力について詳しく解説します。実際の公的データをもとに、世間の平均年収との比較も交えながら、理学療法士のリアルな姿をお伝えします。

1. 理学療法士の年収はどれくらい?

理学療法士(Physical Therapist:PT)は、病院やリハビリテーション施設、介護老人保健施設など、さまざまな現場で活躍している医療専門職です。主な仕事内容は、患者さんの身体機能回復や生活機能向上をサポートするために、運動療法や物理療法を行うこと。高齢化社会が進む日本では、ますますニーズが高まっています。

平均年収の目安

  • 新卒~20代:300万円台~400万円前後
  • 30代以上:400万円前後~500万円
    (病院の規模や経験年数、役職によって変動)

実際に、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などを参考にすると、経験を積んだ理学療法士で年収400万円台に乗る方も少なくありません。さらに、夜勤や当直、資格手当がつくケース、または役職手当などで年収500万円以上を得る理学療法士もいるのです。

2. 公的データから見る日本全体の年収分布

「理学療法士の給料はあまり高くない」というイメージが先行する一方で、実際のところはどうなのでしょうか? ここで参考になるのが、国税庁「民間給与実態統計調査」です。令和3年分(2021年分)のデータによると、約5,163万人の民間給与所得者の年収分布は以下のとおりです。

年収階級人数(万人)構成比(%)
100万円以下898.017.4
100万円超~200万円以下1,043.020.2
200万円超~300万円以下890.417.2
300万円超~400万円以下701.113.6
400万円超~500万円以下537.410.3
500万円超~600万円以下344.86.7
600万円超~700万円以下229.34.4
700万円超~800万円以下152.43.0
800万円超~900万円以下97.51.9
900万円超~1,000万円以下61.21.2
1,000万円超~1,500万円以下100.21.9
1,500万円超~2,000万円以下9.70.2
2,000万円超4.90.1
合計5,163.0100.0

このデータからわかるように、年収300万円以下が約3~4割、400万円以下まで含めると日本の半数以上が該当します。つまり、理学療法士の平均年収(300~400万円台)というのは、日本の給与所得者全体の中でも「特別に低い」というわけではないのです。

3. なぜ「理学療法士は給料が低い」と言われるのか?

それでは、なぜ「理学療法士は給料が低い」とのイメージがあるのでしょうか。いくつか考えられる理由を挙げてみましょう。

  1. 初任給が高額ではない
    新卒や経験が浅いうちは、年収300万円台前半の場合もあります。医療専門職とはいえ、他の業種と比較すると「高額な初任給」ではないケースが多いため、どうしても「給料が低い」という印象を持たれがちです。
  2. 医療・介護・福祉分野の給与水準自体のイメージ
    介護職の給与水準が低いという社会的イメージが強いことも、理学療法士の給料にネガティブな印象を与えている可能性があります。
  3. 昇給ペースの緩やかさ
    企業によっては昇給制度が充実しているところもありますが、病院や介護施設では昇給ペースが緩やかになる場合があります。

しかしながら、これらはあくまで「一部の事情」を切り取った見方です。十分な経験を積み、役職に就くことで大きく年収アップを目指せる現場も増えています。また、夜勤・当直・資格手当などが上乗せされる施設もあり、個人の努力次第で収入を伸ばす可能性は十分にあります。

4. 理学療法士ならではの魅力と将来性

(1) 高齢化社会での安定需要

日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。高齢者のリハビリニーズは今後さらに高まることが予想され、理学療法士の需要は安定的です。また、介護施設や訪問リハビリなど活躍の場は広がり続けています。

(2) 患者さんとしっかり向き合えるやりがい

理学療法士は、患者さんの身体機能回復をサポートする重要な役割を担います。退院後の日常生活まで見据え、運動プログラムを考えたり、目標達成を一緒に喜んだりするやりがいは、他の職種では得難いもの。現場の最前線で人の役に立ちたいと考える方にとって、魅力的な職業といえるでしょう。

(3) キャリアアップの多様性

  • 専門資格の取得
    例:スポーツ理学療法、高次脳機能障害リハビリテーション、認定理学療法士など
  • 管理職やリーダー職へのステップアップ
    チームをまとめるリーダーとしてのポジションも用意されています。
  • 独立開業やフリーランス
    理学療法士の資格を活かして、個人事業を立ち上げる道も検討可能です。

スキルを高めることで給与水準を上げたり、やりたい分野に特化した働き方を選んだりするなど、キャリアの幅が広いことも理学療法士の大きな魅力です。

5. 学生が今からできる準備と資格取得のポイント

(1) 大学や専門学校選び

理学療法士を目指すには、理学療法士養成校(大学・短大・専門学校)に進学し、国家試験受験資格を得る必要があります。卒業後は理学療法士国家試験に合格することで、正式に「理学療法士」として働けます。

  • 学校のカリキュラム内容
  • 国家試験の合格率
  • 就職サポートの充実度

などをチェックして、自分に合った学校を選びましょう。

(2) 勉強以外にも大切な実習経験

理学療法士の養成課程では、実際に病院や施設での実習もあります。患者さんと直接関わることで、理学療法士の仕事を肌で感じられる貴重な機会です。実習を通して知識と経験を積むことが、将来的に職場で活きるのは言うまでもありません。

(3) 専門領域への興味を深める

医療分野は日進月歩。リハビリテーションの分野も新しい研究成果がどんどん出ています。学生のうちから、興味のある分野を掘り下げたり、国際学会の論文を読んだりすることで、「○○分野に強い理学療法士」としての付加価値を高めることが可能です。

6. まとめ:理学療法士は決して低収入ではない!

  • 年収300~400万円台がメインストリームであり、これは日本の民間給与所得者全体と比べても「特別に低い」水準ではありません。
  • 経験や役職手当などで年収500万円以上に伸ばす方も十分に存在します。
  • 高齢化社会が進むなかで需要は増し、キャリアアップの選択肢も豊富です。

「人の役に立ちたい」「医療現場で専門職として働きたい」という思いがあるなら、理学療法士は魅力的な職業といえるでしょう。安定した需要だけでなく、将来的には専門分野での活躍や起業の可能性も大いにあります。皆さんが今後の進路を考えるうえで、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

理学療法士は決して“給料が低い”職業ではなく、やりがいと将来性を兼ね備えた専門職です。もし興味があるなら、ぜひ一度オープンキャンパスや体験学習などに参加してみてください。自分の将来像をより具体的にイメージできるはずです。あなたの理学療法士への第一歩を応援しています!

関連サイト

公益社団法人日本理学療法士協会 国民の皆さま向けトップ

公益社団法人 日本理学療法士協会の公式サイトです。協会に関する様々な情報をご紹介します。

JSPO 日本スポーツ協会

わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。

公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)

日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。