
はじめに
理学療法士として医療機関に勤めていると、毎日の臨床業務やチーム医療の連携などで多忙な日々を送られていることでしょう。そんな中、「同じ職場のスタッフが頻繁にトラブルを起こして困っている」という悩みを抱えている方も少なくありません。
本記事では、特定の職員がしばしばコミュニケーショントラブルを起こし、周囲の理学療法士や他職種、そして患者さんにも影響が及ぶケースを取り上げ、対処法や改善策をまとめました。
特定の職員だけが頻繁にトラブルを起こす背景
1. コミュニケーションスキルの不足
- 言葉選びのミスマッチ:患者さんへの声かけや他職種への依頼の際に、失礼にあたる表現や誤解されやすい表現を使ってしまい、トラブルにつながるケースです。
- 非言語的な要素の不一致:顔つきや態度、声のトーンが厳しく感じられ、本人に悪意がなくても相手が「怒っている」「不機嫌だ」と捉えてしまうことがあります。
2. ストレスや職場環境の影響
- 忙しさやプレッシャー:医療機関では常に患者さんの安全とリハビリ効果が求められます。業務負荷や時間的制約が強いと、心の余裕がなくなりがちです。
- チーム医療における役割混乱:理学療法士、作業療法士、看護師、医師など、複数の専門職が連携する場面で責任の所在や情報共有が曖昧だと、余計にトラブルが発生しやすくなります。
3. 価値観や仕事観の相違
- プロ意識の違い:理学療法士は専門的な知識・技術の習得が求められますが、一部の職員は他者の意見を受け入れにくく、自分のやり方に固執してしまう場合があります。
- 倫理観のズレ:患者さんへの接し方や業務の優先順位のつけ方など、根本的な倫理観や価値観が異なることでコミュニケーションのギャップが生まれることも。
トラブルがもたらす影響
- 患者さんへの悪影響:リハビリの方針が共有されず進行が遅れる、治療方針が曖昧になるなど。
- スタッフ間の不信感:特定の職員に対してストレスを感じると、周囲のモチベーションが低下し、結果的に離職率が高まる可能性も。
- 職場全体の雰囲気の悪化:トラブルが頻発すると、医療従事者としてのチームワークに支障をきたし、負の連鎖を招きやすくなります。
対処法と改善策
1. 問題の把握と事実ベースの整理
- 具体的事例の記録:いつ、どこで、誰が、どのようなトラブルを起こしたのか、客観的なデータをまとめておくことが重要です。
- 当事者の話を聞く:当の職員の主観的な意見や状況を把握することで、誤解や思い込みが原因かどうかを見極めやすくなります。
2. 個別指導・サポートの実施
- コミュニケーション研修・ロールプレイ:外部講師や社内トレーナーを招いた研修を活用し、適切な声かけや伝え方を学ぶ機会を作りましょう。
- 定期的なフィードバック面談:上司や先輩理学療法士がサポート役となり、定期的にフィードバックを行うと、本人の気づきや意識改革につながりやすいです。
- メンタルヘルス支援:ストレスが原因の場合、産業医や専門カウンセラーの活用を検討します。
3. 職場環境や組織体制の見直し
- 情報共有ルールの明確化:患者さんの状態変化や業務連絡の方法を統一し、「どのようなタイミングで、誰に、どんな手段で報告するか」をしっかり定めます。
- 役割分担の明確化:理学療法士の担当範囲や目標設定、他職種との連携フローを可視化することで、責任の所在が不明確にならないようにします。
- チームミーティングの定期開催:日々のカンファレンスや週次のミーティングなど、課題のすり合わせができる場を設け、早期に問題を発見・対処できるようにします。
4. 組織としてのマネジメント
- 公正な評価制度の導入:改善に向けて努力した職員にはポジティブなフィードバックを与え、モチベーションを高めるよう配慮しましょう。
- 懲戒プロセスの明確化:トラブルが度重なる場合、組織として適切に対処しなければ、周囲のスタッフや患者さんへの負担が増します。事前に懲戒手順や処分基準を周知することで抑止力につながります。
- 職場風土の改善:相互尊重の精神を持ち、スタッフ同士がサポートし合える文化を育むことが重要です。個人だけを責めるのではなく、チーム全体で学びを共有する姿勢を持ちましょう。
まとめ
特定の職員が頻繁にコミュニケーショントラブルを起こす場合、まずは客観的な事実収集と本人へのヒアリングを行い、原因を多角的に分析することが大切です。コミュニケーションスキルの研修や個別指導など、個人サポートを充実させると同時に、職場環境や組織全体の仕組みを見直すことも欠かせません。
理学療法士は患者さんとの直接的な関わりだけでなく、他職種との連携が求められる専門職です。スタッフ間のトラブルを放置してしまうと、結果的に患者さんへの質の高いリハビリテーションを提供できなくなるリスクもあります。早めの対処と改善を行い、安心・安全なリハビリテーション環境を守りましょう。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。