
新卒採用枠が狭まる時代に――理学療法士を目指すあなたが今から備えるべきこと
1.「売り手市場」はもう神話?─最新データで読む就職環境
1-1.合格者は横ばいでも累積数は20万人超
第60回国家試験(2025年)の理学療法士合格者は 11,373人、合格率は89.6%です。過去10年間、毎年1万人規模で合格者を輩出し続けた結果、就業者総数はついに20万人を突破しました。
1-2.有効求人倍率4.36倍の落とし穴
厚生労働省 JobTag の職業安定業務統計によると、2023年度の理学療法士有効求人倍率は 4.36倍。数字だけを見ると依然「売り手市場」に見えますが、倍率を押し上げているのは 地方・在宅・介護領域 の欠員です。都市部の急性期病院では体感1倍台まで落ち込んでおり、「枠が取りづらい」という印象が強まっています。
2.病院が新卒を絞る三つの理由
- 診療報酬の天井
2024年度改定で、専従理学療法士が算定できる疾患別リハビリテーション料は 1日9単位上限 が明確化されました。単位数を増やしても病院収益に直結しにくく、増員メリットが薄れています。 - 大学病院を中心とした赤字拡大
国立大学病院42施設の2024年度収支見込みは 約235億円の赤字。経営改善の第一歩として人件費を抑える必要があり、新卒採用を減らす流れが強まっています。 - 即戦力志向の加速
重症度・医療・看護必要度(DPC)評価の厳格化で、教育コストの高い新卒よりも経験者が求められる傾向にあります。
3.これから理学療法士になる学生の五つの戦略
戦略 | 具体的アクション | 期待効果 |
---|---|---|
① 情報収集を前倒し | 3年制なら2年次夏休みまでに病院見学・オンライン説明会に参加 | 人気病院の“早期クローズ”を回避 |
② 分野の固定観念を外す | 在宅・老健・地域包括ケア病棟を就職先候補に含める | 選択肢を2倍以上に拡大 |
③ ポートフォリオ作成 | 卒業研究や症例レポートを 英語アブストラクト付きでまとめる | 「即戦力感」を書類で可視化 |
④ デジタルスキル強化 | Word/Excel/PowerPoint、動画編集、SNS発信を在学中に習得 | 採用担当者の目に留まりやすい |
⑤ 長期インターン活用 | 休日や長期休暇に訪問リハ同行・パーソナルジム補助を体験 | 臨床外の“収入の柱”と経験値を同時に得る |
4.進路選択でよくある三つの誤解
- 「求人倍率が高いから大丈夫」
- 全国平均は地方求人で底上げされている。エリアと分野で倍率は激変する。
- 「まずは急性期で修行すべき」
- 経験値は得やすいが離職率も高い。適性とライフプランを優先しよう。
- 「国家試験に受かればゴール」
- 合格はスタートライン。卒後3年での臨床実績と自己研鑽がキャリアを大きく左右する。
5.将来像を逆算したキャリアプランニング
- 卒後1〜3年:回復期または在宅を組み合わせ、“生活期の視点”を体得
- 卒後4〜6年:認定・専門理学療法士、呼吸・心臓リハ関連資格を取得
- 卒後7年以降:管理職ルート or フリーランス兼教育者ルートに分岐
- 10年後:治療技術×ICT×マネジメントを統合する“ハイブリッドPT”として市場価値を高める
まとめ─“枠が狭い=チャンスがない”ではない
新卒採用は確かに縮小傾向ですが、高齢化による在宅・生活期のニーズはむしろ拡大しています。鍵となるのは 情報を早く取りに行く姿勢 と 自分で学び発信し、価値を証明する力。供給過多と超高齢社会の両方を知る最初の世代として、課題をチャンスに変える「問題解決のプロ」になりましょう。
今日からできる小さな一歩――病院見学の予約、ポートフォリオ作成、そしてSNSでの学びの発信――が、未来の就職競争を大きくリードします。
関連サイト
JSPO 日本スポーツ協会
わが国におけるスポーツ統括団体「JSPO(日本スポーツ協会)」の公式サイト。国民体育大会や日本スポーツマスターズの開催、スポーツ少年団の運営など。
公益財団法人日本パラスポーツ協会(JPSA)
日本パラスポーツ協会(JPSA)は、国内における三障がいすべてのスポーツ振興を統括する組織で、障がい者スポーツ大会の開催や奨励、障がい者スポーツ指導者の育成、障がい者のスポーツに関する相談や指導、普及啓発などを行っています。